こんにちは。
神社寺院の「かえる」な情報を集めている蛙旅団です。
今回は、境内にたくさんの蛙が奉納されている「二見興玉(ふたみおきたま)神社」の二見蛙について紹介します。
やってきました二見興玉神社
二見興玉神社は、三重県の海岸沿いにある神社です。
二見興玉神社の御祭神は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)で、縁結び・夫婦円満・交通安全などにご利益があるそうです。
「交通安全」、このご利益からして、蛙がいそうな匂いがプンプンしますね。
かえるはどこにいる?
境内は海岸沿いの細長い場所にあって、境内に入った瞬間に、金属・石・陶器製など多数のかえるが置かれているので、歩いているだけで、かえる・蛙・カエルが目にはいってきます。
カエラーなら本殿の参拝までに、かなりの時間を有することでしょう。
参道以外にも、蛙手水舎、蛙おみくじ、蛙お守り、蛙岩などなど、とてもボリュミー。
なので、今回は参道・境内に奉納されている「二見蛙(ふたみかえる)」について報告します。
どうしてカエルがいるの?
「二見蛙」について、という解説板が設置されていました。
【二見蛙について】
当社社の御祭神猿田彦大神は
天孫降臨の際又伊勢神宮御鎮座の時に
道案内された(古事記日本書紀)ので
古来交通安全の守護神として
広く信仰されております。
蛙は大神の御使と信ぜられ
境内に沢山ある置物は
無事かえる、貸したものが
かえる、などの縁起により
御利益を受けた方々の
献納によるものであります。
二見興玉神社
それではしばし、二見蛙をご堪能ください。
なぜ蛙が多いのですか?
二見興玉神社の「よくあるご質問」に、下記のように回答しています。
(改行、太字は管理人が行いました)
二見興玉神社HP「よくあるご質問」より
境内に多く見受けられる蛙の奉献は、
元来この地が御日の神の拝所であり、
皇大神を御日の神と崇めたる時代に在りて、
祝詞式に、所謂、谷蟆々の狭渡る極みなどあり、日の神に谷蟆々(蛙)を献じたるものなりと伝えられ、
又、御神石である興玉神石を伊勢の海の守護の澳魂とあがめ、
龍神崇拝の精神を一つにして、龍神は雨を喜ぶと云う意味から蛙を献ずるのであるといわれ、
社伝には神宮参拝者が、旅の安全、航海の安穏を祈念して無事「かえる」の願からでたものとも云い伝えられています。
当地は不浄汚穢を禊祓う霊場であるところから、
蛙を戴いて小児の痒、腫物その他病痛の邪気を祓って必ず快癒といわれ、信奉されてきました。
現在におきましても、御参拝の皆様は無事かえる・貸したものがかえる・若かえるなどの縁起により御利益をいただいております。
昭和14年発行の「参拝のしをり」にも、二見興玉神社のかえる信仰として、3つの説をあげています。
1、祝詞式に「谷蟆々(たにぐく)の狭渡(さわた)る極み」とあることから、谷蟆[ヒキガエル]を奉献したという説
2、仏説より、皇大神がこの浦に、金色の霊蛇(れいだ)と化して姿を現したので、蛙を献上することになったという伝説
3、社伝より、参宮者が旅行安全に・航海安穏に、無事立ちかえるの願意をもって奉献したといういい伝え
(参拝のしをりより抜粋)
「蛙奉献の事」
蛙(かはづ)の奉献は元来此の地が御日(おんひ)の神の拝所なるを以て、
皇大神を御日(おんひ)の神と崇(あが)めたる時代に在りて、
彼の祝詞式に、所謂、谷蟆々(たにくぐ)の狭渡(さわた)る極みなどあるに依り、
日の神に谷蟆々(たにくぐ)を献じたるものなりと伝説あり、
或は佛説に、皇大神此の浦に於て金色(こんじき)の霊蛇(れいだ)と化して
本地(ほんち)の御姿(おんすがた)を現はし給ひしより、
蛙(かはづ)を献するに至りしとの伝説をも存せるが、
社伝によれば、往昔海中の興玉神石(おきだましんせき)の露出したる時代に於て
参宮者が旅行安全に、或は航海安穏に、無事立ちかへるの願意を以て奉献するに至りしと云ふ。
而して此蛙は、小児(せうに)の痣(あざ)、腫物(しゅもつ)等を撫でて祈願すれば、必ず平癒すと信でられ、遂に身代蛙(みがわりかはづ)の名さへ附せられて授與(じゅよ)を請ふもの頗る多し。
昭和初期と現在では、2番の説が変更されていことがわかります。
また、嘉永七(1854)年(江戸時代末期)の「二見浦古図」には、すでにかえるが描かれており、少なくともそれ以前からかえる信仰があったと考えられます。
古来より、なぜここに蛙がいるのか?という疑問を持つ方が多く、そこに回答を見出したいという模索がみてとれます。
さて、冒頭に二見興玉神社が設置した「二見蛙」についての解説板には、
当社社の御祭神猿田彦大神は
天孫降臨の際又伊勢神宮御鎮座の時に
道案内された(古事記日本書紀)ので
古来交通安全の守護神として
広く信仰されております。
蛙は大神の御使と信ぜられ
・・・
と書かれているのですが、「古事記」「日本書紀」に、サルタヒコの御使が「蛙」という記述はなく、その根拠はどこにあるのか気になって、二見興玉神社に問い合わせみました。
結論からいうと、二見興玉神社が『猿田彦の使いは蛙だ』という設定(社伝)にしているだけで、根拠となる出典などないとのこと。
それでも、二見興玉神社には、江戸から続くかえる信仰が、今なお健在という事実はかわりません。
かえる名所めぐりビギナーさんにとてもオススメのかえる名所だと思います。
(取材日:2000/9/7、2009/7/9、2011/2/5、2019/3/23)
掲載情報
参考文献
地図と情報
二見興玉(ふたみおきたま)神社
住所 :三重県伊勢市二見町江575
電話 :0596-43-2020
休業日:年中無休
関連URL:二見興玉神社サイト|お伊勢参りは二見から 二見興玉神社