こんにちは。
世界でかえるの名シーンを見たい!蛙旅団です。
かえるといえば、「柳に跳びつく蛙」ですね。
それでは、今回もかえる名所に行ってみましょう。
「柳に跳びつく蛙」とは?
どこかで見たことないですか?この構図を!
花札48枚のひとつ「雨」の札、通称『柳に蛙』です。
傘をさしている平安貴族ぽい人物が『小野道風』です。
平安中期の書道家小野道風(おののみちかぜ)は、藤原行成(ゆきなり)、藤原佐理(すけまさ)とともに「三蹟」と呼ばれて、後世に名前を「とうふう」と音読みするようになりました。
小野道風は、書の道に迷いを生じたとき、蛙が柳に飛びつこうと何度も挑戦している姿を見て発心し書道に専念した、という、かえると関わりのある伝説を持っているのです。
小野道風が柳に飛びつく蛙の姿を見て悟りをひらくという逸話は、後世の創作で、
江戸中期の思想家、三浦梅園の『梅園叢書』(1750年)に登場するのが、その源流ではないかと思われます。
その後、画題として浮世絵をはじめ、この逸話に基づく道風の姿が描かれるようになりました。
花札にこの柄が登場したのも、明治以降です。
『梅園叢書』から該当箇所を抜粋してみましょう。
『梅園叢書』
學に志し、藝に志す者の訓
今日やまず、明日やまず、今年止ず、明年やまず、然して後そのしるしあり。
人一生の力をその道に用るさへ、尚その奥儀にいたるはやすからず。
況我一月半月、乃至一年半年のつとめを以て、他人一生の功に比せんとす。
思はざるの甚きなり。
小野道風は本朝名誉の能書なり。
わかゝりしとき手をまなべども、進まざることいとひ、後園に躊躇けるに、
蟇の泉水のほとりの枝垂たる柳にとびあがらんとしけれどもとゞかざりけるが、
次第々々に高く飛で、後には終に柳の枝にうつりけり。
道風是より芸のつとむるにある事をしり、学でやまず、其名今に高くなりぬ。
春日井市 道風記念館
愛知県春日井市に「春日井市 道風記念館」があります。
春日井市のサイトによりますと、
春日井市には、古くから小野道風の誕生伝説があります。
南北朝時代に記されたと思われる書の奥義書『麒麟抄』を最古とし、
『塩尻』(天野信景著)など、いくつかの資料にみられます。
文化12年に尾張藩の学者、秦鼎の撰文によって建てられた小野朝臣遺跡碑によると、
18世紀末には、この土地で道風生誕が信じられ、顕彰活動がおこなわれていたことが知られます。
春日井市では、書聖小野道風の偉業をたたえ、末永く後世に伝えたいと、昭和56年11月1日、
道風誕生の地と伝えられ、小野朝臣遺跡碑の建つ松河戸町に春日井市道風記念館を開館しました。
全国的にも数少ない書専門の美術館として、また書道史の研究施設として、書道文化の一層の向上発展に貢献することを目的とした事業を展開しています。
蛙はどこにいる?
「春日井市 道風記念館」前の記念碑と小野道風公銅像の足元におります。
小野道風公像は、昭和61年10月19日建立で柴田鋼造氏の作品。
足下に一匹の蛙がいます。
「書聖在茲」記念碑は、小野道風誕生1100年を記念し、平成6年11月12日に建立されました。
「書聖」とは、能書家を敬っていう言葉で、書道の名人のこと、
「在茲」とは、ある人や物事を心に留め、忘れないという意味です。
硯の造形になっているのもお見逃しなく。
記念館前のかえるたちを堪能したら、記念館に入ってみましょう。
入り口の前庭に大小いろいろなかえるたちが置かれています。
館内にかえる資料の展示はないのですが、お土産にかえる、あります。
文鎮!
花札の絵柄が反転したような構図になってます。
自分も書道の時間くらいしか使用したことがない「文鎮」いや、ペーパーウェイトですが、まぁペーパーウェイトなので、飛ばされやすい環境にあるモノをおさえるのに使えますね。
おさらい
昭和56年11月 道風記念館開館
昭和61年 小野道風公像建立
平成6年11月 小野道風公誕生 1100 年記念碑「書聖在茲」建立
次回は、記念館前にある「道風公園」を散策します。
(取材日:2002/4/5、2018/11/23)
参考文献
地図&情報
春日井市道風記念館
住所 :愛知県春日井市松河戸町5丁目9-3
電話 :0568-82-6110
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
関連URL:施設案内 春日井市道風記念館